指名される美容師の必須会話術。5つの褒めテクを攻略
あなたの美容室へのリピーターを増やし、美容師への指名を定着させるためには、カット技術の向上だけでなく、美容師の会話力を高める必要があります。
美容室選びの動機で「スタッフ」は、大きな割合を占めますが、技術力の高さだけが考慮されているわけではありません。人柄や会話が弾むかどうかが大きく影響しているのです。
しかし、会話力といっても、話題のチョイスや、会話したくないお客さまへの配慮も必要……。安心してください。コミュニケーションが苦手な美容師さんでも使える万能テクニックがあります。
それは、お客さまを「褒める」こと。
褒めることで、会話も弾み、あなたが好印象を抱かれるだけでなく、お客さまとの距離も縮まります。会話が長く続かなくても「褒めてもらった」という印象はお客さまのなかにいつまでも残ります。
人は褒められると、恥ずかしいと思いつつも、気分がよくなるものです。
今話題のライザップが支持されている理由のひとつに、徹底的に褒めることが挙げられます。スクワットで、ひざを曲げるだけで良い点を見つけ、とにかくべた褒め。そうすることで気分がよくなり、やる気が満ちあふれ、苦しいトレーニングも続けられるのです。みんな褒めに飢えています。
それに実は、美容師さんに褒められたい、と感じているお客さまが多いことをご存知でしょうか。美容室では褒められることがない、と思い込んでいたのに、褒めてくれる美容師が突然現れれば、お客さまは次回も指名したくなるのが人情。
今回は、お客さまともう一歩近づいた関係を築き、リピート率を高める、褒め方についてご紹介しましょう。
1.服装を褒める
まずは、お客さまの服装、身につけているものを褒めてください。褒めるポイントが目に見えてわかりやすいため、すぐにできる褒め方です。
ただし、褒めたあとは、お客さま自身も褒めてあげましょう。モノだけを褒めても、お客さまを褒めたことにはなりません。
「その靴素敵ですね」と褒めたのなら、「センスがいいですね。その手があったか、と思いました」や、「とても似合っていますね」と、身につけているお客さま自身も併せて褒めてあげましょう。
2.雰囲気を褒める
常連のお客さまの場合は、外見以外を褒めるのもひとつのテクニックです。
「〇〇さんといるとなぜか落ち着くんで、ハサミをていねいに入れたくなるんです」や、会話が盛り上がってきたら、「〇〇さんだと、やっぱり話しやすいですね」といった雰囲気や人柄を褒めてみましょう。
もちろん無理に褒める必要はありません。キリッとした感じの方に「落ち着きます」と言っても困らせるだけ。
あなたがお客さまに対して、以前から感じていることを素直に伝えればいいのです。当然ですが、褒めるポイントについては、つくり上げてはいけません。不自然な褒めは、お世辞に聞こえてしまいます。
3.年上のお客さまには自分を下げ、敬意を表する
年上のお客さまの場合は、直接的に褒めるよりも、「〇〇さんに比べたら、私なんか……ですよ」と自分を下げることや、「〇〇さんの美肌の秘訣は何なのですか」と教えを請うのが効果的。
年上のお客さまに、「キレイですね」、「かわいいですね」というのは偉そう、恐れ多いから褒めない。というのは、もったいないです。年上のお客さまには、自分を下げたり、「〇〇さん、実は私の理想の女性像なんです」と尊敬していることを伝えたりすることで、自然に褒められます。
4.美容師の視点から髪を褒める
コックに作った料理を褒められる、歯医者に歯磨きが上手だと褒められる。やはりその道のプロに褒められると嬉しいものです。美容師さんの場合は、髪自体や手入れ方法、お客さま自身がされたセットについて、褒めてあげましょう。
「ツヤツヤですね。髪の手入れに時間をかけているのですか」と毎日髪にふれているプロに言われると、友だちに褒められるより嬉しいもの。
ただし、あなたの美容室の施術が関係していることを言っても、自画自賛しているだけになってしまうので注意が必要です。
5.何でも褒める
褒めるといっても、モノや人の内面以外にもポイントはあります。褒める行為は、相手の存在を受け入れる行為なので、「お荷物お預かりします」といったお客さまを気遣うことから、「なるほど~」、「そうですね」といったお客さまの話に同調、共感することまで、多岐にわたるのです。
いきなり直接的な褒め言葉を言うのが気恥ずかしければ、まずは会話に「すごいっ!?」、「わぁ、ステキッ!?」といった感嘆フレーズを挟むのもオススメ。用意していた台詞を棒読みするぐらいなら、単純に驚いてあげるほうがよほど効果が高いのです。
日頃から褒めることを習慣づける
褒めることで、会話がスムーズに運ぶだけでなく、お客さまにも気分よく居てもらえます。とはいえ、上手に褒める自信がない、褒めるのが恥ずかしい、とはじめは思うもの。そんな場合は、美容師同士や、家族内で褒め合う文化を作りながら慣れていきます。
上手に褒めるためのコツとしては、人の良いところを見つける練習をするといいでしょう。はじめは難しくても続けることで、あなたの観察眼は磨かれ、褒めるべきポイントが見つけられるようになります。
競争の激しい美容業界において、また来たいと思ってもらえる美容室になるには、技術だけでなくお客さまが居心地の良い環境を作る必要があるのです。
美容師それぞれが褒めるテクニックを活用して、会話力を向上させられたならば、あなたの美容室のリピーターは増え続け、指名も定着していくことでしょう。
2015年10月30日|美容師の接客術